2009年07月04日
TOP500の私家版辛目サプライズTOP5
2009年6月版のTOP500スーパーコンピューター・リストですが、TOP10やTOP20といった上位陣にはサプライズというかワクワク感はありませんでした。
しかし、つらつら全体をながめてみると辛いサプライズというか、いくつかショッキングなデータもあります。
以下は私家版の辛目サプライズTOP5。
5位: 今回の500位の性能は半年前の274位の性能。
下位半分近くが半年でランク外に去るほどHPCの底上げが持続して続いています。今回の500位はLINPACK性能 17TFLOPS (インテル Woodcrest 3,528コアのブレード・クラスター)。このため日本国内の民間企業スーパーコンピューター・サイトはすべてTOP500リストのランク外に去りました。
4位: 日本は地球シミュレータ(リニュー機)の22位が最高。
いま日本はTOP10ではなくTOP50クラスでの競争にまで落ちています。
ここで各国の最高性能機の順位とLINPACK性能値を見ると、
USA 1位(1.1 PFLOPS/Roadrunner)
独 3位(826 TFLOPS/EUGEN(BGP))
サウジ 14位(185 TF/BGP)
中国 15位 (181 TF/Dawning)
カナダ 16位 (169 TF/iDataplex)
インド 18位(133 TF/HP)
仏 20位(123 TF/SGI)
日本 22位 (122 TF/ES(SX-9/E))
スイス 24位 (118 TF/XT5)
英 25位 (116 TF/p575) (ただし25位のECMWFにはp575が2台あるので実質は12位くらいの能力がある)
思考実験的に、T2Kの総性能を1箇所のセンターに集中させた場合を考えても200TFLOPS強なのでTOP500の12位程度です。これが世界の中の実態ということがわかります。
3位: 日本の台数シェアはたったの2.4% (12台)に減少。
米国(291台)は別格として英(44台)、独(29台)、仏(23台)、中国(21台)より少なく、かつての米国に次ぐスーパーコンピューター利用国という日本のプレゼンスは今やかたなし。(性能累計値では中国より日本がまだ大きい・・)。
こうした状況が続くとなるといろいろな面で非常にまずいと思うのですが。
2位: ベクトル専用機は前回同様、TOP500中に1台のみ。
この1台は今年3月にリニューした地球シミュレーター(NEC SX-9/E))です。2年前は4システム、4年前は7システムのベクトル専用機がランクインしてました。ベクトル機のイメージが強いCrayも今やTOP500のシステムはすべてOpteron搭載機で、TOP500というスーパーコンピューターの世界ではベクトル・アーキテクチャはほぼ絶滅したかに見えます。世界で唯一ベクトル専用機で頑張っているNECの開発・販売戦略が気になります。
1位: TOP500中63%が企業内のシステムであるにもかかわらず、日本の企業サイトはなんと今回0台!。
去年ランクインしていた4社はすべて17TFLOPS未満だったためランクアウトになりましたが、他方17TFLOPS以上の新規または性能拡大が民間企業でなかったことになります。
日本に12台の公的スーパーコンピューター・サイトがあるならば18台の企業スーパーコンピューター・サイトが存在するというのがTOP500の平均値です。そうなると日本の合計台数は30台となりドイツと同規模になります。文部科学省は、産業界の研究開発にスーパーコンピューティングが役だたせられるよう一生懸命ですが、残念ながら日本は先進工業国の中でとても変わったスーパーコンピューター利用分布になりました。
経済産業省などはこの状況をどうとらえているのでしょうか。
さてさて、以前は日本のはるか後ろにいたヨーロッパですが、いま比較的新しいメーカーがHPCに積極的で、HPCwireのブログによるとBull (仏), T-Platforms (露), Eurotech (伊)の三社がそれぞれ独自のペタスケールまで拡張できるハイエンドのHPCシステムに取り組んでいると報じています。
ともあれ、地球シミュレータ・ショックをてこに米国が根気強くHPCを立て直したように、HPCが企業のR&Dのために広く役ただせられるようにするとともに、スーパーコンピューター関連産業が高い競争力を持つ輸出産業になるよう、ここは総合的で強い長期戦略を持って日本の影響力を回復させる必要があるでしょうね。
しかし、つらつら全体をながめてみると辛いサプライズというか、いくつかショッキングなデータもあります。
以下は私家版の辛目サプライズTOP5。
5位: 今回の500位の性能は半年前の274位の性能。
下位半分近くが半年でランク外に去るほどHPCの底上げが持続して続いています。今回の500位はLINPACK性能 17TFLOPS (インテル Woodcrest 3,528コアのブレード・クラスター)。このため日本国内の民間企業スーパーコンピューター・サイトはすべてTOP500リストのランク外に去りました。
4位: 日本は地球シミュレータ(リニュー機)の22位が最高。
いま日本はTOP10ではなくTOP50クラスでの競争にまで落ちています。
ここで各国の最高性能機の順位とLINPACK性能値を見ると、
USA 1位(1.1 PFLOPS/Roadrunner)
独 3位(826 TFLOPS/EUGEN(BGP))
サウジ 14位(185 TF/BGP)
中国 15位 (181 TF/Dawning)
カナダ 16位 (169 TF/iDataplex)
インド 18位(133 TF/HP)
仏 20位(123 TF/SGI)
日本 22位 (122 TF/ES(SX-9/E))
スイス 24位 (118 TF/XT5)
英 25位 (116 TF/p575) (ただし25位のECMWFにはp575が2台あるので実質は12位くらいの能力がある)
思考実験的に、T2Kの総性能を1箇所のセンターに集中させた場合を考えても200TFLOPS強なのでTOP500の12位程度です。これが世界の中の実態ということがわかります。
3位: 日本の台数シェアはたったの2.4% (12台)に減少。
米国(291台)は別格として英(44台)、独(29台)、仏(23台)、中国(21台)より少なく、かつての米国に次ぐスーパーコンピューター利用国という日本のプレゼンスは今やかたなし。(性能累計値では中国より日本がまだ大きい・・)。
こうした状況が続くとなるといろいろな面で非常にまずいと思うのですが。
2位: ベクトル専用機は前回同様、TOP500中に1台のみ。
この1台は今年3月にリニューした地球シミュレーター(NEC SX-9/E))です。2年前は4システム、4年前は7システムのベクトル専用機がランクインしてました。ベクトル機のイメージが強いCrayも今やTOP500のシステムはすべてOpteron搭載機で、TOP500というスーパーコンピューターの世界ではベクトル・アーキテクチャはほぼ絶滅したかに見えます。世界で唯一ベクトル専用機で頑張っているNECの開発・販売戦略が気になります。
1位: TOP500中63%が企業内のシステムであるにもかかわらず、日本の企業サイトはなんと今回0台!。
去年ランクインしていた4社はすべて17TFLOPS未満だったためランクアウトになりましたが、他方17TFLOPS以上の新規または性能拡大が民間企業でなかったことになります。
日本に12台の公的スーパーコンピューター・サイトがあるならば18台の企業スーパーコンピューター・サイトが存在するというのがTOP500の平均値です。そうなると日本の合計台数は30台となりドイツと同規模になります。文部科学省は、産業界の研究開発にスーパーコンピューティングが役だたせられるよう一生懸命ですが、残念ながら日本は先進工業国の中でとても変わったスーパーコンピューター利用分布になりました。
経済産業省などはこの状況をどうとらえているのでしょうか。
さてさて、以前は日本のはるか後ろにいたヨーロッパですが、いま比較的新しいメーカーがHPCに積極的で、HPCwireのブログによるとBull (仏), T-Platforms (露), Eurotech (伊)の三社がそれぞれ独自のペタスケールまで拡張できるハイエンドのHPCシステムに取り組んでいると報じています。
ともあれ、地球シミュレータ・ショックをてこに米国が根気強くHPCを立て直したように、HPCが企業のR&Dのために広く役ただせられるようにするとともに、スーパーコンピューター関連産業が高い競争力を持つ輸出産業になるよう、ここは総合的で強い長期戦略を持って日本の影響力を回復させる必要があるでしょうね。
2009年06月12日
● インフルエンザとスーパーコンピューティング (2)
・ 新型インフルエンザ (A/H1N1)警戒水準が上限の6に上げられました。WHO事務局長のご託宣という印象が強くて、私には科学的な説得力といったものが伝わってきませんでした。地震の震度発表などと比較するとわかりますが、気象庁長官が自分の判断で震度7と決定しましたーという発表をするわけがないし、その必要もないわけで、感染症医療分野の科学的未熟さ度合いを感じます。
・ もう少し何とかならないかというのが実感ですが、インフルエンザウィルスの変異とか伝染の進み具合をHPCを駆使して予想する研究は行われていて、その例が前に紹介したIBMのProject Checkmateなどです。さらに今回、イリノイ大学のKlaus Schulten教授がProject “turned very hot due to the world-wide health threat from swine flu”(「ブタインフルエンザの世界的脅威で非常にホットになったプロジェクト」と言っているので特にプロジェクト名はない?)でテキサス大学のTACCのRangerスーパーコンピューターを使った緊急計算をしています。
・ Schulten教授といえばイリノイ大学にあるTheoretical and Computational Biophysics Group (TCBG) のリーダーの物理屋さんで、並列(!)分子動力学シミュレーター NAMDやビューアのVMDなどの開発に力を入れ、巨大分子系のモデリングの研究をしている科学者ですから、インフルエンザ・ウィルス計算にはうってつけのようです。
・タミフルに耐性を持ったA/H1N1ウィルスでメキシコに死亡者が発生したことが始めの段階でよく知られています。Schulten教授たちは、分子動力学シミュレーションをすることで薬がウィルスにどんなふうにくっつくのか、前に効いた薬に対してウィルスが耐性を持つ場合には何が生じているのか、ウィルスがどう変異しようが薬で永久的に不活性化するための弱点を発見することはできないか、といった質問に答えようとしています。
・A/H1N1ウイルスは、ひとの細胞内でたっぷりと増殖した後に細胞膜を切り開いて外に出て行くために必須の A/H1N1ノイラミニダーゼというキノコ状の道具を持っているわけですが、その表面にある深いくぼみを薬の分子でピッタリふさぐと道具が役にたたなくなるのでウイルスは万事休すとなります。要は、そういう状態が生じるかどうかを調べるためにNAMDコードでシミュレーションをするわけです。ただし、その前にノイラミニダーゼ自体が非常に速いスピードで進化する部分なのでトリインフルエンザ・ウィルスのゲノム配列データとホモロジー情報を組み合わせてA/H1N1ノイラミニダーゼの最初の原子モデルを作るというようなことをしています(詳しいことは不明)。
・計算モデルとしては、スペイン風邪のH1N1ウィルスで薬なしのモデル、トリインフルエンザ H5N1とタミフルが結合したモデル、ブタインフルエンザ A/H1N1とリレンザが結合したモデルの三種類を作り、TACCのRangerスーパーコンピューターの優先アクセス・キューに入れ、2,000〜3,000プロセッサーによる2週間連続の大規模な計算をしています。Schulten教授らの研究は始まったばかりのようですが、バイオフィジックスの格好のテーマとして、これから他にもいろいろなチームが取り組んでいくのではないでしょうか。
・最近では海底地震が起こるとすぐに津波シミュレーションの結果がTVに紹介されるようになりましたが、パンデミック対策も科学者をコアに、日本がリードしている地震災害対策のような自然災害対策の視点に立った学際的で科学的なアプローチを強化展開して世界をリードするというのがむしろ理にかなっている感じがしますが(極端かな?)。
・ もう少し何とかならないかというのが実感ですが、インフルエンザウィルスの変異とか伝染の進み具合をHPCを駆使して予想する研究は行われていて、その例が前に紹介したIBMのProject Checkmateなどです。さらに今回、イリノイ大学のKlaus Schulten教授がProject “turned very hot due to the world-wide health threat from swine flu”(「ブタインフルエンザの世界的脅威で非常にホットになったプロジェクト」と言っているので特にプロジェクト名はない?)でテキサス大学のTACCのRangerスーパーコンピューターを使った緊急計算をしています。
・ Schulten教授といえばイリノイ大学にあるTheoretical and Computational Biophysics Group (TCBG) のリーダーの物理屋さんで、並列(!)分子動力学シミュレーター NAMDやビューアのVMDなどの開発に力を入れ、巨大分子系のモデリングの研究をしている科学者ですから、インフルエンザ・ウィルス計算にはうってつけのようです。
・タミフルに耐性を持ったA/H1N1ウィルスでメキシコに死亡者が発生したことが始めの段階でよく知られています。Schulten教授たちは、分子動力学シミュレーションをすることで薬がウィルスにどんなふうにくっつくのか、前に効いた薬に対してウィルスが耐性を持つ場合には何が生じているのか、ウィルスがどう変異しようが薬で永久的に不活性化するための弱点を発見することはできないか、といった質問に答えようとしています。
・A/H1N1ウイルスは、ひとの細胞内でたっぷりと増殖した後に細胞膜を切り開いて外に出て行くために必須の A/H1N1ノイラミニダーゼというキノコ状の道具を持っているわけですが、その表面にある深いくぼみを薬の分子でピッタリふさぐと道具が役にたたなくなるのでウイルスは万事休すとなります。要は、そういう状態が生じるかどうかを調べるためにNAMDコードでシミュレーションをするわけです。ただし、その前にノイラミニダーゼ自体が非常に速いスピードで進化する部分なのでトリインフルエンザ・ウィルスのゲノム配列データとホモロジー情報を組み合わせてA/H1N1ノイラミニダーゼの最初の原子モデルを作るというようなことをしています(詳しいことは不明)。
・計算モデルとしては、スペイン風邪のH1N1ウィルスで薬なしのモデル、トリインフルエンザ H5N1とタミフルが結合したモデル、ブタインフルエンザ A/H1N1とリレンザが結合したモデルの三種類を作り、TACCのRangerスーパーコンピューターの優先アクセス・キューに入れ、2,000〜3,000プロセッサーによる2週間連続の大規模な計算をしています。Schulten教授らの研究は始まったばかりのようですが、バイオフィジックスの格好のテーマとして、これから他にもいろいろなチームが取り組んでいくのではないでしょうか。
・最近では海底地震が起こるとすぐに津波シミュレーションの結果がTVに紹介されるようになりましたが、パンデミック対策も科学者をコアに、日本がリードしている地震災害対策のような自然災害対策の視点に立った学際的で科学的なアプローチを強化展開して世界をリードするというのがむしろ理にかなっている感じがしますが(極端かな?)。
2009年06月04日
● ドイツのJUGENEが1ペタFLOPSに増強
・ ドイツのユーリッヒにあるガウス・センターのJUGENE (Juelicher BlueGene/P )がピーク性能1ペタFLOPSに増強され、先週の5月26日にお披露目されています。JUGENEはBlue Gene/Pの72ラック(初稿訂正: Blue Gene/Pは216ラックまで拡張可能でした)のシステムで水冷ラック(初稿訂正。"The roughly 72,000 processors in the new supercomputer will be accommodated in 72 water-cooled racks. " (http://www.fz-juelich.de/portal/index.php?index=1434)とあるので、単に水冷バックドアでラックを冷やしているだけ?)です。
・ Blue Gene/Pのプロセッサー・チップには4個のPowerPC450プロセッサーとIBMが強いembeddedDRAM 8MBと高速ネットワークが入っていますが、これと2GB DDR2メモリーから4-way SMPノードを構成し、1個のコンピュート・カードにしています。72ラック全体で73,728個のコンピュート・ノードになるのでプロセッサー数は4倍の294,912個に達します。
・ ヨーロッパ最大の貴重なシステムなだけにその利用は少数の科学的価値の高いプロジェクトやスケーラビリティの性能向上に貢献できるプロジェクトなどに絞られています。6月にはTop500スーパーコンピューター・リストの発表がありますが、いまのところ世界3位くらいの位置にいるのではないでしょうか。
・ 組み立て現場のスライドショーは見飽きませんが、水冷のせいかはたまたドイツというせいか建屋内はプレファブ風のそっけないものです。
・ JUGENEと同時にNehalem-EPプロセッサーを使用した100テラFLOPS級の二つのHPCシステム、Bull社ベースの汎用クラスター JUROPA (ピーク性能 207テラFLOPS)とITER核融合炉など核融合シミュレーション専用のHPC-FF (HPC For Fusion,ピーク性能 101テラFLOPS)のふたつが紹介されました。システム構成図を見るとファイル・システムにはLustreとIBM GPFS (General Parallel File System)が使用されています。
・ この三つのシステムはヨーロッパ全体の研究活動に利用されます。アメリカや日本の次世代スーパーコンピューター研究開発に触発されたこともあるのでしょう、ヨーロッパのHPCはこのところずいぶん元気になってきています。
・ Blue Gene/Pのプロセッサー・チップには4個のPowerPC450プロセッサーとIBMが強いembeddedDRAM 8MBと高速ネットワークが入っていますが、これと2GB DDR2メモリーから4-way SMPノードを構成し、1個のコンピュート・カードにしています。72ラック全体で73,728個のコンピュート・ノードになるのでプロセッサー数は4倍の294,912個に達します。
・ ヨーロッパ最大の貴重なシステムなだけにその利用は少数の科学的価値の高いプロジェクトやスケーラビリティの性能向上に貢献できるプロジェクトなどに絞られています。6月にはTop500スーパーコンピューター・リストの発表がありますが、いまのところ世界3位くらいの位置にいるのではないでしょうか。
・ 組み立て現場のスライドショーは見飽きませんが、水冷のせいかはたまたドイツというせいか建屋内はプレファブ風のそっけないものです。
・ JUGENEと同時にNehalem-EPプロセッサーを使用した100テラFLOPS級の二つのHPCシステム、Bull社ベースの汎用クラスター JUROPA (ピーク性能 207テラFLOPS)とITER核融合炉など核融合シミュレーション専用のHPC-FF (HPC For Fusion,ピーク性能 101テラFLOPS)のふたつが紹介されました。システム構成図を見るとファイル・システムにはLustreとIBM GPFS (General Parallel File System)が使用されています。
・ この三つのシステムはヨーロッパ全体の研究活動に利用されます。アメリカや日本の次世代スーパーコンピューター研究開発に触発されたこともあるのでしょう、ヨーロッパのHPCはこのところずいぶん元気になってきています。
2009年05月26日
● バイオにもクラウド・コンピューティングの動き
・ 豚インフルエンザ改め新型インフルエンザも落ち着いた感じで、豚肉が売れなくなったという話も聞きませんから、名称変更については作戦勝ちだったようです。一方で新型と言ったためにばくぜんとした不安をあおられた向きも増えたことでしょうから、名称の影響力は大です。
・ 5/15(金)は同志社大学京田辺校地の会場で、もう15年も続いている超並列計算研究会の50回目という記念すべき会が開かれ、東京方面からも私を入れて10人ほどの方が参加していました。次の日からの全校休校措置のニュースやマスク姿の映像といった変化にはびっくりしてしまいした。
・ こうした突然の対応にさほど合理性を感じないのは、医療に密接に関係しているバイオ分野で、コンピューター・シミュレーションなどを駆使して予測する(例えば前に触れたようなウィルスの変異予測とか感染予測など)ようなアプローチが現状では全く欠けていたのが理由のひとつかもしれません。
(もし予測できたのであればバイオ分野へのコンピューター投資が経済面でもたいへん効果的だったはずですが・・)
・ とは言えそれは主に大学や政府研究機関の役割で、世界の大手製薬企業を見ると売り上げに比べ新薬開発のコストは年々増加する一方。R&Dが新薬競争の生命線だとは言え、自社のR&D用のシステムを拡大するのには限りがあります。そこで処理の一部を自社システムからクラウド・コンピューティングに移行する試みがファイザー、イーライリリー、ジョンソン&ジョンソンなどで始まっています。
→ The New Computing Pioneers
製薬業界はR&Dのセキュリティ保持に特に敏感なだけに驚きです。
・ これらの企業はpay-as-you-go (使用した分に応じて支払う)ベースで クラウド・コンピューティングのサービスを利用します。利点はコストと時間の節約、短所は潜在的にひそむ管理の弱体化とセキュリティとしています。
・ AmazonのElastic Compute Cloud (EC2) サービスを利用したバイオインフォマティクス配列解析プロジェクトと、社内でリソースを新たに購入した場合をイーライリリーが比較した例が少し紹介されていて、クラウドの効果を数字をあげて実証しています。
・ 利点を最大に、短所を最小にするためにはどんな種類のデータをクラウド上のストレージやコンピューターに上げるのがよいか決める必要があります。当然ながら医薬品開発に直接結びつく化合物データをクラウド上で共有することになるとは思えませんが、疾病の複雑な生物学データであれば共有する価値があるはずです。
・ 「クラウドと言っているのはインターネットという意味。分散型ストレージとコンピュータ処理の洒落た名称」という言い方に従えば(?)、バイオ系で進んでいるゲノム情報などのデータベースはじめ疾病生物学データやスーパーコンピューターが近い将来クラウドの一部になり、共有するメリットを追求していくだろうことは目に見えています。
・ 最近では、Applied BiosystemsのSolid 3やIlluminaのGenome Analyzer IIxのように生体のゲノム配列を高速に読み取る次世代シーケンサーと呼ばれる装置が一日で数テラバイトの生画像データやテキストデータをはき出すようになりました。
・ 数テラバイトの生データは組み込まれたソフトウェアで分析・検査され、間引きされて数Gバイトまで縮小されるようですが、それもソフトウェアの性能しだいといったところのようです。(生データの)バックアップを考えると悪夢だとメルク社の専門家は言っています。
→ Next-Generation DNA Sequencing Raises The Bar In Laboratory Data Management
・ バイオ分野で特徴的なこれらの大量データを研究者がクラウド上で共有できるようにし、最先端の解析やシミュレーション手法で最初にあげたような問題解決に結びつけていくのが、これからのバイオ分野におけるHPCの主要な挑戦のひとつになるのでしょう。
・ 5/15(金)は同志社大学京田辺校地の会場で、もう15年も続いている超並列計算研究会の50回目という記念すべき会が開かれ、東京方面からも私を入れて10人ほどの方が参加していました。次の日からの全校休校措置のニュースやマスク姿の映像といった変化にはびっくりしてしまいした。
・ こうした突然の対応にさほど合理性を感じないのは、医療に密接に関係しているバイオ分野で、コンピューター・シミュレーションなどを駆使して予測する(例えば前に触れたようなウィルスの変異予測とか感染予測など)ようなアプローチが現状では全く欠けていたのが理由のひとつかもしれません。
(もし予測できたのであればバイオ分野へのコンピューター投資が経済面でもたいへん効果的だったはずですが・・)
・ とは言えそれは主に大学や政府研究機関の役割で、世界の大手製薬企業を見ると売り上げに比べ新薬開発のコストは年々増加する一方。R&Dが新薬競争の生命線だとは言え、自社のR&D用のシステムを拡大するのには限りがあります。そこで処理の一部を自社システムからクラウド・コンピューティングに移行する試みがファイザー、イーライリリー、ジョンソン&ジョンソンなどで始まっています。
→ The New Computing Pioneers
製薬業界はR&Dのセキュリティ保持に特に敏感なだけに驚きです。
・ これらの企業はpay-as-you-go (使用した分に応じて支払う)ベースで クラウド・コンピューティングのサービスを利用します。利点はコストと時間の節約、短所は潜在的にひそむ管理の弱体化とセキュリティとしています。
・ AmazonのElastic Compute Cloud (EC2) サービスを利用したバイオインフォマティクス配列解析プロジェクトと、社内でリソースを新たに購入した場合をイーライリリーが比較した例が少し紹介されていて、クラウドの効果を数字をあげて実証しています。
・ 利点を最大に、短所を最小にするためにはどんな種類のデータをクラウド上のストレージやコンピューターに上げるのがよいか決める必要があります。当然ながら医薬品開発に直接結びつく化合物データをクラウド上で共有することになるとは思えませんが、疾病の複雑な生物学データであれば共有する価値があるはずです。
・ 「クラウドと言っているのはインターネットという意味。分散型ストレージとコンピュータ処理の洒落た名称」という言い方に従えば(?)、バイオ系で進んでいるゲノム情報などのデータベースはじめ疾病生物学データやスーパーコンピューターが近い将来クラウドの一部になり、共有するメリットを追求していくだろうことは目に見えています。
・ 最近では、Applied BiosystemsのSolid 3やIlluminaのGenome Analyzer IIxのように生体のゲノム配列を高速に読み取る次世代シーケンサーと呼ばれる装置が一日で数テラバイトの生画像データやテキストデータをはき出すようになりました。
・ 数テラバイトの生データは組み込まれたソフトウェアで分析・検査され、間引きされて数Gバイトまで縮小されるようですが、それもソフトウェアの性能しだいといったところのようです。(生データの)バックアップを考えると悪夢だとメルク社の専門家は言っています。
→ Next-Generation DNA Sequencing Raises The Bar In Laboratory Data Management
・ バイオ分野で特徴的なこれらの大量データを研究者がクラウド上で共有できるようにし、最先端の解析やシミュレーション手法で最初にあげたような問題解決に結びつけていくのが、これからのバイオ分野におけるHPCの主要な挑戦のひとつになるのでしょう。
2009年05月17日
● 一社製造体制で、より強化されたのかもしれない日本の次世代スパコン開発
・理研とNECがそれぞれ発表した5/14の次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクト変更の突然のニュースには思わずのけぞってしまいました。
理研:「次世代スーパーコンピュータ・システムの構成を見直す」
NEC: 「文部科学省「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」への参画形態の見直しについて」
・結局のところNECは(私が期待していたような)ベクトル機のイノベーションにめどがつかず、革新ではなく現状改善を選択したのでしょう。氷冷蔵庫の時代にはやっていた氷屋の最後の生き残りだけは、電気冷蔵庫の時代になっても数少ない固定客相手に競争なしにビジネスを続けられるそうです。ベクトル機ビジネスは、どうしてもこの「最後の氷屋」ビジネス・モデルに見えてしまうのが残念 (ないものねだりか?)。
・ところで、スーパーコンピューター開発競争は、たとえナショナル・プロジェクトの位置づけとは言え、政府ではなくメーカー間の研究開発競争というのが本質です。よく知られているように、アメリカでは政府機関は大ユーザーとしてアプリケーション・ニーズと購入資金を示し、発注から導入までのプロジェクト管理を行なって、メーカーの製品研究開発を加速させ、アプリケーションに必要なシステムを手に入れます。
・そういう観点では、10PetaFLOPSの一番乗り競争は、NECが脱落したいま(その結果として日立も脱落)、理研の次世代スーパーコンピューターを納入する富士通と、米国ローレンスリバモア国立研究所のセコイアを納入するIBMとの間で実質的に行われることになります。
・残る富士通は、理研/NECの発表の前日に次世代スーパーコンピューターに使う予定の新プロセッサーの試作品を公開(「富士通が最速CPU開発、10年ぶり日本メーカー首位」)し、プロセッサーのアーキテクチャーも3月に公表(「富士通、次期スパコン向けHPC-ACEアーキテクチャを公表」)するなど、積極さが目立っています。SPARCアーキテクチャー使用ということから、私のような門外漢にはOracleによるSunの買収の影響が気になりますが、このことは富士通はもちろん百も承知のうえでしょう。
・次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクトは国産三社が担当すると発表されたとき、IBMの知り合いの研究者が一社ではなく三社共同開発というのは信じられない。アメリカでは絶対うまくいかないというようなことを話していました (地球シミュレータはNEC 一社が開発製造を担当した)。
・ベクトル・アーキテクチャーを組み込むという日本らしさはなくなったものの、一社製造体制になったことで海外の競争相手からは、プロジェクトの性能目標の実現性が高まり、より強敵になったと見られるようになることだろうと私は思います。
・一方では情報が不十分なせいか、ベクトル部分の製造は台湾メーカーに頼む?(「NEC abandons Japan's 'next-gen' supercomputer」)と言った妙な海外記事も出たりしています。
ナショナル・プロジェクトとしての価値が最大限になるようにプロジェクトを進めていくためには、今回に限らず理研の次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクトから継続的に、タイミングよく正確な情報が公開されていくということもたいへん重要になってきます。
理研:「次世代スーパーコンピュータ・システムの構成を見直す」
NEC: 「文部科学省「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」への参画形態の見直しについて」
・結局のところNECは(私が期待していたような)ベクトル機のイノベーションにめどがつかず、革新ではなく現状改善を選択したのでしょう。氷冷蔵庫の時代にはやっていた氷屋の最後の生き残りだけは、電気冷蔵庫の時代になっても数少ない固定客相手に競争なしにビジネスを続けられるそうです。ベクトル機ビジネスは、どうしてもこの「最後の氷屋」ビジネス・モデルに見えてしまうのが残念 (ないものねだりか?)。
・ところで、スーパーコンピューター開発競争は、たとえナショナル・プロジェクトの位置づけとは言え、政府ではなくメーカー間の研究開発競争というのが本質です。よく知られているように、アメリカでは政府機関は大ユーザーとしてアプリケーション・ニーズと購入資金を示し、発注から導入までのプロジェクト管理を行なって、メーカーの製品研究開発を加速させ、アプリケーションに必要なシステムを手に入れます。
・そういう観点では、10PetaFLOPSの一番乗り競争は、NECが脱落したいま(その結果として日立も脱落)、理研の次世代スーパーコンピューターを納入する富士通と、米国ローレンスリバモア国立研究所のセコイアを納入するIBMとの間で実質的に行われることになります。
・残る富士通は、理研/NECの発表の前日に次世代スーパーコンピューターに使う予定の新プロセッサーの試作品を公開(「富士通が最速CPU開発、10年ぶり日本メーカー首位」)し、プロセッサーのアーキテクチャーも3月に公表(「富士通、次期スパコン向けHPC-ACEアーキテクチャを公表」)するなど、積極さが目立っています。SPARCアーキテクチャー使用ということから、私のような門外漢にはOracleによるSunの買収の影響が気になりますが、このことは富士通はもちろん百も承知のうえでしょう。
・次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクトは国産三社が担当すると発表されたとき、IBMの知り合いの研究者が一社ではなく三社共同開発というのは信じられない。アメリカでは絶対うまくいかないというようなことを話していました (地球シミュレータはNEC 一社が開発製造を担当した)。
・ベクトル・アーキテクチャーを組み込むという日本らしさはなくなったものの、一社製造体制になったことで海外の競争相手からは、プロジェクトの性能目標の実現性が高まり、より強敵になったと見られるようになることだろうと私は思います。
・一方では情報が不十分なせいか、ベクトル部分の製造は台湾メーカーに頼む?(「NEC abandons Japan's 'next-gen' supercomputer」)と言った妙な海外記事も出たりしています。
ナショナル・プロジェクトとしての価値が最大限になるようにプロジェクトを進めていくためには、今回に限らず理研の次世代スーパーコンピューター研究開発プロジェクトから継続的に、タイミングよく正確な情報が公開されていくということもたいへん重要になってきます。
2009年05月04日
● インフルエンザとスーパーコンピューティング
・ ブタインフルエンザ (Swine Flu)ウィルスの感染が連日報じられています。この発生状況をインフルエンザ発生地図(2009 H1N1 Flu Outbreak Map)で見ると、交通網経由の感染伝播なことがよくわかります。感染国を塗りつぶした、よく見る地図よりもこの方が正確なイメージになっています。
・ インフルエンザのような感染症の空間分布が時間と共にどう変化していくかは、バイオテロリズム対策と表裏一体ということもあり各国で研究されていると思いますが、たとえば米国ではIBMが開発したSTEMプログラムがオープン・ソースコードとして公開されています。STEMはSpatiotemporal Epidemiological Modeler (時空間疫学モデラー)の略。
・ このSTEMは今年4月に米国エクリブス財団のトップレペル・テクノロジー・プロジェクトになりました。IBMアルマデン研究所の開発メンバーが中心になり大型モデルを作り、大型コンピューターで計算を続けているようです。
・ 始めからBlue Geneスーパーコンピューターを念頭にトリインフルエンザ(Avian Flu)ウィルスの時間とともに起こっていく巧妙な変異とそれへの免疫系モデルを研究しているのがProject Checkmateのスクリップス研究所(Scripps Research Institute)とIBMワトソン研究所の共同チームです。IBMはインフルエンザ(H5N1)ウィルスの巨大分子H(ヘマグルチニン。ウィルス粒子が宿主の細胞表面に強く吸着するための鉤の部分)の分子構造のシミュレーションをBlue Geneでおこなっています。
・ Project Checkmateはいまのところ目的や概要のみが知られています(動画)。詳細な内容については、おそらく今後発表されていくのだろうと思います。
・ インフルエンザのような感染症の空間分布が時間と共にどう変化していくかは、バイオテロリズム対策と表裏一体ということもあり各国で研究されていると思いますが、たとえば米国ではIBMが開発したSTEMプログラムがオープン・ソースコードとして公開されています。STEMはSpatiotemporal Epidemiological Modeler (時空間疫学モデラー)の略。
・ このSTEMは今年4月に米国エクリブス財団のトップレペル・テクノロジー・プロジェクトになりました。IBMアルマデン研究所の開発メンバーが中心になり大型モデルを作り、大型コンピューターで計算を続けているようです。
・ 始めからBlue Geneスーパーコンピューターを念頭にトリインフルエンザ(Avian Flu)ウィルスの時間とともに起こっていく巧妙な変異とそれへの免疫系モデルを研究しているのがProject Checkmateのスクリップス研究所(Scripps Research Institute)とIBMワトソン研究所の共同チームです。IBMはインフルエンザ(H5N1)ウィルスの巨大分子H(ヘマグルチニン。ウィルス粒子が宿主の細胞表面に強く吸着するための鉤の部分)の分子構造のシミュレーションをBlue Geneでおこなっています。
・ Project Checkmateはいまのところ目的や概要のみが知られています(動画)。詳細な内容については、おそらく今後発表されていくのだろうと思います。
2009年04月21日
● SGIはRackable Systemsへ、そしてSUNもOracleに
・4月1日にシリコンバレー出身のSGIが米国Chapter 11(連邦倒産法)を申請し、そのSGIをRackable Systems, Incがたったの$25M (約25億円弱)で買収する計画を発表したのにひき続き、昨日4月20日にはやはりシリコンバレー出身のSun MicrosystemsをOracleが$7.4B (7,400億円弱)で買収することでSunと合意しました。
・IBMへの買収提案が不首尾に終わった後の行方が懸念されていたSunですが、どうやら船に似合った船頭が見つかったという印象です。なぜ最初からOracleに買収を持ちかけなかったのかという気さえします。とはいえ、New York Timesの記事、 「In Sun, Oracle Sees a Software Gem (OracleはSunの中にソフトウェアの宝石を見ている)」によるとOracleの経営者はSunをModern technology companyではあるがHardware companyとは考えていないと話しているというのがひっかかります。
・Wall Street Journalの記事「Oracle Snatches Sun, Foiling IBM (OracleがSunを横取り、IBMをくじく)*」ではNew York Timesとはややニュアンスが違い、SunのHardware部門を利益の出る事業部門にしたいとCatz社長が話したと、Hardware部門への期待があるかのように報じています。
・いずれにしろOracleからは(IBMだったとしても)、買収後のSunには高収益を上げることが要求されている(いた)ので、継続的に金食い虫になる先進的なハードウェア開発の計画や人員については何らかの新しい判断が予想されます。Sunは4月14日にブレードサーバーやInfiniBandなどのネットワーク新ファミリー製品、ストレージ・システム、大型HPCシステムのコンステレーションなどHPC新製品群の大きな製品発表をしています。非常に理解しにくいのは、買収の成否がかかっているこの時期に、買収相手の意向に無頓着とも言えるような長期の製品開発コスト負担を強いる新製品群を発表したことです。
・はたして、Oracle経営者はSunを高収益にできると言い、業界アナリストはOracleがSunに対して大幅なコスト・セービングをするだろうとの予想を先のNY Timesが伝えています。Hardware部門の人間にとっては辛い状況になりそうです。
蛇足) * このWall Street Journalの記事のタイトルにはかなり違和感があります。実際、昨日のNew York Timesの記事「I.B.M. Affirms Earnings Goal Despite Sales Slide (売上下落もIBMは利益目標達成を確認)」の中でも、IBMのCFOのMark LoughridgeがSunの買収の件について、「a Sun deal did not pass muster (Sunの買収案件は合格レベルに達しなかった)」と示唆したとあり、IBMはすでに手を引いていたと見るのが理にかなっているのでは。
・IBMへの買収提案が不首尾に終わった後の行方が懸念されていたSunですが、どうやら船に似合った船頭が見つかったという印象です。なぜ最初からOracleに買収を持ちかけなかったのかという気さえします。とはいえ、New York Timesの記事、 「In Sun, Oracle Sees a Software Gem (OracleはSunの中にソフトウェアの宝石を見ている)」によるとOracleの経営者はSunをModern technology companyではあるがHardware companyとは考えていないと話しているというのがひっかかります。
・Wall Street Journalの記事「Oracle Snatches Sun, Foiling IBM (OracleがSunを横取り、IBMをくじく)*」ではNew York Timesとはややニュアンスが違い、SunのHardware部門を利益の出る事業部門にしたいとCatz社長が話したと、Hardware部門への期待があるかのように報じています。
・いずれにしろOracleからは(IBMだったとしても)、買収後のSunには高収益を上げることが要求されている(いた)ので、継続的に金食い虫になる先進的なハードウェア開発の計画や人員については何らかの新しい判断が予想されます。Sunは4月14日にブレードサーバーやInfiniBandなどのネットワーク新ファミリー製品、ストレージ・システム、大型HPCシステムのコンステレーションなどHPC新製品群の大きな製品発表をしています。非常に理解しにくいのは、買収の成否がかかっているこの時期に、買収相手の意向に無頓着とも言えるような長期の製品開発コスト負担を強いる新製品群を発表したことです。
・はたして、Oracle経営者はSunを高収益にできると言い、業界アナリストはOracleがSunに対して大幅なコスト・セービングをするだろうとの予想を先のNY Timesが伝えています。Hardware部門の人間にとっては辛い状況になりそうです。
蛇足) * このWall Street Journalの記事のタイトルにはかなり違和感があります。実際、昨日のNew York Timesの記事「I.B.M. Affirms Earnings Goal Despite Sales Slide (売上下落もIBMは利益目標達成を確認)」の中でも、IBMのCFOのMark LoughridgeがSunの買収の件について、「a Sun deal did not pass muster (Sunの買収案件は合格レベルに達しなかった)」と示唆したとあり、IBMはすでに手を引いていたと見るのが理にかなっているのでは。
2009年04月13日
●「脳科学の革新的な発展を目指して」東北大バイオフォーラム
2005年にBlue Brain Projectが引き金を引いたこともあって、脳科学研究へのHPCの利用への関心が一段と高まっていますが、脳科学そのものについては日頃詳しい内容を聞く機会もあまりなく、HPC研究者、技術者にとって脳科学研究分野での交流・協力がしにくい状況なのではないかと思います。
そうした中、「脳科学の革新的な発展を目指して」をテーマに東北大学が東京を会場にバイオフォーラムを開催しますので紹介します。東北大脳神経科学COE拠点のメンバーをはじめ、ブレインコンピューティング研究の矢野雅文通研所長やあの川島隆太教授など、東北大の組織を横断した講演者によるフォーラムになっていて力が入っています。
JAXAも共催していますが、これは「きぼう日本実験棟」利用による新しいバイオ研究が進められているためで、これについてはランチョンセミナーで聞くことができます。
=================================
第2回 東北大学バイオフォーラム
「脳科学の革新的な発展を目指して」
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/
日程: 2009年6月5日(金) 10:30〜18:30 バイオフォーラム(無料)
12:20〜13:20 ランチョンセミナー(無料)
18:40〜19:30 交流会(有料)
場所:東京ステーションコンファレンス(東京駅サピアタワービル6階)
主催:東北大学 共催:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
プログラム
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/program.html
「東北大学の産学官連携への取組」
渡邉 誠 (理事:研究・教育研究基盤推進担当)
「基調講演 東北大学のライフサイエンス戦略」
飯島 敏夫 (副学長: ライフサイエンス担当)
「性行動の引き金を引く脳細胞を同定する
山元 大輔 (生命科学研究科・生命機能科学専攻教授)
「脳の設計図とその書き換えによる自在な脳の作り替え」
仲村 春和 (生命科学研究科・生命機能科学専攻教授)
「創薬研究の新地平:血液脳関門ファーマコプロテオミクス」
寺崎 哲也 (薬学研究科・医療薬科学専攻教授)
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新規治療法の開発」
青木 正志 (医学系研究科・医科学専攻講師)
「脳と機械の融合を目指すニューロ・マシン融合デバイス(νBMD)の開発」
小柳 光正 (工学研究科・バイオロボティクス専攻教授)
「無限定環境に適応する脳の創発機能」
矢野 雅文 (電気通信研究所・ブレインウェア実験施設教授)
「経頭蓋磁気刺激による脳障害の治療と新たな刺激装置の開発」
出江 紳一 (医工学研究科 教授)
「脳科学と社会」 川島 隆太 (加齢医学研究所 教授)
ランチョンセミナー 『宇宙から地球へ:新しいバイオ研究の夜明け
〜きぼう日本実験棟利用の現状と将来〜』
”線虫の宇宙環境におけるRNA干渉とタンパク質リン酸化”
東谷 篤志 (生命科学研究科・生態システム生命科学専攻教授)
”微小重力下における根の水分屈性とオーキシン制御遺伝子の発現”
高橋 秀幸 (生命科学研究科・生態システム生命科学専攻教授)
交流会の事前登録および参加登録
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/entry.html
世話人会:
代表 中山 啓子 (医学系研究科 教授)
河野 雅弘 (未来科学技術共同研究センター教授)
松浦 祐司 (医工学研究科 教授)
宮本 明 (工学研究科 教授)
西島 和三 (未来科学技術共同研究センター客員教授)
=================================
そうした中、「脳科学の革新的な発展を目指して」をテーマに東北大学が東京を会場にバイオフォーラムを開催しますので紹介します。東北大脳神経科学COE拠点のメンバーをはじめ、ブレインコンピューティング研究の矢野雅文通研所長やあの川島隆太教授など、東北大の組織を横断した講演者によるフォーラムになっていて力が入っています。
JAXAも共催していますが、これは「きぼう日本実験棟」利用による新しいバイオ研究が進められているためで、これについてはランチョンセミナーで聞くことができます。
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第2回 東北大学バイオフォーラム
「脳科学の革新的な発展を目指して」
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/
日程: 2009年6月5日(金) 10:30〜18:30 バイオフォーラム(無料)
12:20〜13:20 ランチョンセミナー(無料)
18:40〜19:30 交流会(有料)
場所:東京ステーションコンファレンス(東京駅サピアタワービル6階)
主催:東北大学 共催:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
プログラム
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/program.html
「東北大学の産学官連携への取組」
渡邉 誠 (理事:研究・教育研究基盤推進担当)
「基調講演 東北大学のライフサイエンス戦略」
飯島 敏夫 (副学長: ライフサイエンス担当)
「性行動の引き金を引く脳細胞を同定する
山元 大輔 (生命科学研究科・生命機能科学専攻教授)
「脳の設計図とその書き換えによる自在な脳の作り替え」
仲村 春和 (生命科学研究科・生命機能科学専攻教授)
「創薬研究の新地平:血液脳関門ファーマコプロテオミクス」
寺崎 哲也 (薬学研究科・医療薬科学専攻教授)
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する新規治療法の開発」
青木 正志 (医学系研究科・医科学専攻講師)
「脳と機械の融合を目指すニューロ・マシン融合デバイス(νBMD)の開発」
小柳 光正 (工学研究科・バイオロボティクス専攻教授)
「無限定環境に適応する脳の創発機能」
矢野 雅文 (電気通信研究所・ブレインウェア実験施設教授)
「経頭蓋磁気刺激による脳障害の治療と新たな刺激装置の開発」
出江 紳一 (医工学研究科 教授)
「脳科学と社会」 川島 隆太 (加齢医学研究所 教授)
ランチョンセミナー 『宇宙から地球へ:新しいバイオ研究の夜明け
〜きぼう日本実験棟利用の現状と将来〜』
”線虫の宇宙環境におけるRNA干渉とタンパク質リン酸化”
東谷 篤志 (生命科学研究科・生態システム生命科学専攻教授)
”微小重力下における根の水分屈性とオーキシン制御遺伝子の発現”
高橋 秀幸 (生命科学研究科・生態システム生命科学専攻教授)
交流会の事前登録および参加登録
→ http://www.dialogue2005.com/tohoku2/entry.html
世話人会:
代表 中山 啓子 (医学系研究科 教授)
河野 雅弘 (未来科学技術共同研究センター教授)
松浦 祐司 (医工学研究科 教授)
宮本 明 (工学研究科 教授)
西島 和三 (未来科学技術共同研究センター客員教授)
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2009年04月01日
● Cell/B.E., GPU 三大プログラミング・コンテストの結果発表
3/30にNehalem-EPが正式に発表され、IBMが大々的にNehalem使用のSystem x サーバー群を発表したりと、いまそちらがホットなのかもしれませんが、それはさておき、HPCの主要テーマのひとつはなんと言ってもAcceleratorです。
そのCell/B.E.プロセッサーとGPUを対象にした3つのプログラミング・コンテストの結果が3月末にかけて主催者のホームページで次々と発表されました。
それぞれの主催者による講評にもありますが、入賞者のレベルは予想以上に(?)高く感じられました。Cell/B.E.プロセッサーやGPUのプログラミング・スキルを持つ層が確実に拡大・成長しているようです。その一方、Acceleratorという性格もあって参加者による性能のばらつきが大きく示される結果にもなっています。
こうしたコンテストの大事な価値として、コンテストの結果がスキルとして広く共有され、ユーザー層のボトムアップにつながるという期待がありますが、その点、特に入賞者による最適化レポートとソースコードが公開されているHack the Cell '09 の結果は私にとっては非常に刺激的です。そしてやはり社会人 (プロフェッショナル)は強い!
三つのコンテストの主催者、関係者のご苦労もしのばれますが、それぞれのコンテストから少し転載して並べて見ると下記のようになります。この分野は盛況になってきていますね。
Cell Challenge 2009
(日本情報処理学会の三研究会 主催)
規定課題: 文字列の編集距離計算
参加者数:35チーム(みたところ完走は25チーム)
第1位: チーム(≧ω≦) 94点
第2位: チーム RunSeptet 88点
第3位: チーム konagayalab 54点
自由課題:
第1位:チーム 仙台電波高専 園田研究室
「Cellプロセッサにおける時空間パイプラインによるFDTD法の高速化」
第2位:チーム 電気通信大学 今村研究室
「Cell/B.E. による倍精度粒子法の高速化」
第3位:チーム itotlabo
「Cell Broadband Engine を用いた輪郭抽出処理の高速化」
GPU Challenge 2009
(日本情報処理学会の二研究会 主催)
規定課題: 文字列の編集距離計算
参加者数:43チーム 86名参加
第1位: チーム piyopiyo (東大)
第2位: チーム りんだ一人だ (長崎大)
第3位: チーム EEIC-T2 (東大)
自由課題:
参加者数:16チーム 33名
最優秀賞: チーム cube GTX
「GPUによる計算機合成ホログラムのソフトウェア開発」
奨励賞: チーム patternmatchers
"Online Approximate String Matching with CUDA"
奨励賞: チーム 防衛大学校情報工学科黒川研究室
「CUDAを用いたAESアルゴリズムcudaAESの開発と評価」
Hack the Cell '09
(株式会社フイックスターズ主催)
参加者数:160人(学生部門:68人、社会人部門:92人)
課題提出数:40人(オリジナルより10倍以上高速化した提出者数)
学生部門
1位: 福澤 太 (東工大) 82.2倍 (オリジナルからの倍率)
2位: 木下 正喬 (九工大) 68.1倍
社会人部門
1位: 菊池 正史(レピダム) 126.3倍
2位: 小寺 春樹 (-) 120.2倍
フィックスターズ賞
野村 達雄 (信州大) 60.9倍
そのCell/B.E.プロセッサーとGPUを対象にした3つのプログラミング・コンテストの結果が3月末にかけて主催者のホームページで次々と発表されました。
それぞれの主催者による講評にもありますが、入賞者のレベルは予想以上に(?)高く感じられました。Cell/B.E.プロセッサーやGPUのプログラミング・スキルを持つ層が確実に拡大・成長しているようです。その一方、Acceleratorという性格もあって参加者による性能のばらつきが大きく示される結果にもなっています。
こうしたコンテストの大事な価値として、コンテストの結果がスキルとして広く共有され、ユーザー層のボトムアップにつながるという期待がありますが、その点、特に入賞者による最適化レポートとソースコードが公開されているHack the Cell '09 の結果は私にとっては非常に刺激的です。そしてやはり社会人 (プロフェッショナル)は強い!
三つのコンテストの主催者、関係者のご苦労もしのばれますが、それぞれのコンテストから少し転載して並べて見ると下記のようになります。この分野は盛況になってきていますね。
Cell Challenge 2009
(日本情報処理学会の三研究会 主催)
規定課題: 文字列の編集距離計算
参加者数:35チーム(みたところ完走は25チーム)
第1位: チーム(≧ω≦) 94点
第2位: チーム RunSeptet 88点
第3位: チーム konagayalab 54点
自由課題:
第1位:チーム 仙台電波高専 園田研究室
「Cellプロセッサにおける時空間パイプラインによるFDTD法の高速化」
第2位:チーム 電気通信大学 今村研究室
「Cell/B.E. による倍精度粒子法の高速化」
第3位:チーム itotlabo
「Cell Broadband Engine を用いた輪郭抽出処理の高速化」
GPU Challenge 2009
(日本情報処理学会の二研究会 主催)
規定課題: 文字列の編集距離計算
参加者数:43チーム 86名参加
第1位: チーム piyopiyo (東大)
第2位: チーム りんだ一人だ (長崎大)
第3位: チーム EEIC-T2 (東大)
自由課題:
参加者数:16チーム 33名
最優秀賞: チーム cube GTX
「GPUによる計算機合成ホログラムのソフトウェア開発」
奨励賞: チーム patternmatchers
"Online Approximate String Matching with CUDA"
奨励賞: チーム 防衛大学校情報工学科黒川研究室
「CUDAを用いたAESアルゴリズムcudaAESの開発と評価」
Hack the Cell '09
(株式会社フイックスターズ主催)
参加者数:160人(学生部門:68人、社会人部門:92人)
課題提出数:40人(オリジナルより10倍以上高速化した提出者数)
学生部門
1位: 福澤 太 (東工大) 82.2倍 (オリジナルからの倍率)
2位: 木下 正喬 (九工大) 68.1倍
社会人部門
1位: 菊池 正史(レピダム) 126.3倍
2位: 小寺 春樹 (-) 120.2倍
フィックスターズ賞
野村 達雄 (信州大) 60.9倍
2009年03月26日
● 巨象も踊る (Who Says Elephants Can't Dance?)
・1993年から2002年春まで9年間異業種からIBM CEOに就任、IBMを再生させたルー・ガースナーの「巨象も踊る」(日本経済新聞社、2002年)をいまごろ読んでいます。IBM社員のときにはこういったものを読むのは当事者感覚が強すぎて敬遠していました。タイトルからはいつもダンボの映画の1シーンを連想していましたが、今読んでみると内容のある面白い本です。
・IBMが創業以来始めての赤字連続急増決算に転落し、マスコミが悲観的将来予想を書き立てていたさなか、ガースナーがCEOに就任しIBM再生を成功させたわけです。そうした危機の中 1993年2月にIBMへHPCにおける現在のポジションをもたらす導火線になった最初の超並列処理システム IBM SP1が登場し、その後大成功をおさめています。日本でそのSP1にかかわっていたせいか危機的状況をそれほど強く感じた記憶はないのですが、海外出張がそれまでのビジネス・クラスから一斉にディスカウント・エコノミーへと社内ルールが変わりこちらのほうがショックでした。
・「巨象も踊る」によるとIBM CEOの選考当時だれも引き受け手がいなくて、ビル・ゲーツの名が挙ったり、競合するIT経営者の助言を得ようとしたりと、IBMの未来は風前の灯(?)だったようです。当時絶好調のサン・マイクロシステムズのCEO、スコット・マクネリーがだれでもいいから「冴えない人物」を選ぶべきだと新聞記者に率直に語っていたとガースナーは書いています。
・おりしも、それから16年たった2009年3月、HPに断られたサン・マイクロシステムズがIBMに自社買い取りの提案をしたといううわさ記事がウォール・ストリート・ジャーナル印刷版で流れました。
・この本の中でガースナーは、「IBMの成功のうちかなりの部分が、持ち込まれた買収案件(コンパック、SGI等々)を断ったためであることに疑問の余地はない。」と強調したり、「売上げ高を増やせるが利益を増やせない買収を行わなかった」と総括していることから、もしガースナーだったらどういう結論を出すのか想像できる気がしますが、(このうわさ記事が本当だとした場合) ガースナーの後継者として高い信頼を得て就任したパルミサーノCEOははたしてどういう結論をだすのか。
・IBMが創業以来始めての赤字連続急増決算に転落し、マスコミが悲観的将来予想を書き立てていたさなか、ガースナーがCEOに就任しIBM再生を成功させたわけです。そうした危機の中 1993年2月にIBMへHPCにおける現在のポジションをもたらす導火線になった最初の超並列処理システム IBM SP1が登場し、その後大成功をおさめています。日本でそのSP1にかかわっていたせいか危機的状況をそれほど強く感じた記憶はないのですが、海外出張がそれまでのビジネス・クラスから一斉にディスカウント・エコノミーへと社内ルールが変わりこちらのほうがショックでした。
・「巨象も踊る」によるとIBM CEOの選考当時だれも引き受け手がいなくて、ビル・ゲーツの名が挙ったり、競合するIT経営者の助言を得ようとしたりと、IBMの未来は風前の灯(?)だったようです。当時絶好調のサン・マイクロシステムズのCEO、スコット・マクネリーがだれでもいいから「冴えない人物」を選ぶべきだと新聞記者に率直に語っていたとガースナーは書いています。
・おりしも、それから16年たった2009年3月、HPに断られたサン・マイクロシステムズがIBMに自社買い取りの提案をしたといううわさ記事がウォール・ストリート・ジャーナル印刷版で流れました。
・この本の中でガースナーは、「IBMの成功のうちかなりの部分が、持ち込まれた買収案件(コンパック、SGI等々)を断ったためであることに疑問の余地はない。」と強調したり、「売上げ高を増やせるが利益を増やせない買収を行わなかった」と総括していることから、もしガースナーだったらどういう結論を出すのか想像できる気がしますが、(このうわさ記事が本当だとした場合) ガースナーの後継者として高い信頼を得て就任したパルミサーノCEOははたしてどういう結論をだすのか。
2009年03月18日
● 理研シンポジウム「第3世代 PC クラスタ」から
・独立行政法人 理化学研究所 情報基盤センターと次世代スーパーコンピュータ開発実施本部主催のシンポジウム「第3世代 PC クラスタ」が先週、和光本所 鈴木梅太郎ホールで行われましたが、その全講演資料が公開されています。
今年のシンポジウムは理研がRIKEN Super Combined Cluster (RSCC)を2004年6月に本格稼働(Top500 7位だった)してから5年経ち、今年8月に次期RSCC (RIKEN Integrated Cluster of Clusters (RICC)と呼称)が稼働を予定していることからひとつの区切りの時期になります。そうしたことから過去5年間を総括した内容発表に加え、T2Kの東京大学版について紹介がなされたこともあり、興味深いシンポジウムでした。
神戸ポートアイランドに次世代スーパーコンピューター用の建屋骨組みも姿を現わし、今年はシステム演算部の試作・評価の段階に入る計画になっていますが、その中で理研のRSCCとその後継システムRICCの役割は
1. 次世代スパコンで計算するアプリ開発の場
2. 次次世代以降のスパコンへのハード・ソフト的なテストの場
3. 既存の利用者へ更なる高性能システムの提供
4. 理研内の新たな利用分野の開拓
とあり、今後さらに高度、広範囲な分野に渡った貢献が期待されます。
午後の前半ではGPGPUについて、性能評価などの講演がありましたが、RICCシステムの多目的PCクラスタ(100ノード)部分にはAcceleratorとして100個のGPGPUを搭載する予定とのこと (機種は今後発表される)です。
(追加) このシンポジウムの取材報告がマイコミジャーナルのレポートに紹介されていました。タイトルは少し混乱しているように見受けられますが、シンポジウムの内容が詳しく紹介されています。
今年のシンポジウムは理研がRIKEN Super Combined Cluster (RSCC)を2004年6月に本格稼働(Top500 7位だった)してから5年経ち、今年8月に次期RSCC (RIKEN Integrated Cluster of Clusters (RICC)と呼称)が稼働を予定していることからひとつの区切りの時期になります。そうしたことから過去5年間を総括した内容発表に加え、T2Kの東京大学版について紹介がなされたこともあり、興味深いシンポジウムでした。
神戸ポートアイランドに次世代スーパーコンピューター用の建屋骨組みも姿を現わし、今年はシステム演算部の試作・評価の段階に入る計画になっていますが、その中で理研のRSCCとその後継システムRICCの役割は
1. 次世代スパコンで計算するアプリ開発の場
2. 次次世代以降のスパコンへのハード・ソフト的なテストの場
3. 既存の利用者へ更なる高性能システムの提供
4. 理研内の新たな利用分野の開拓
とあり、今後さらに高度、広範囲な分野に渡った貢献が期待されます。
午後の前半ではGPGPUについて、性能評価などの講演がありましたが、RICCシステムの多目的PCクラスタ(100ノード)部分にはAcceleratorとして100個のGPGPUを搭載する予定とのこと (機種は今後発表される)です。
(追加) このシンポジウムの取材報告がマイコミジャーナルのレポートに紹介されていました。タイトルは少し混乱しているように見受けられますが、シンポジウムの内容が詳しく紹介されています。
2009年03月13日
● 学士院賞、HPCで業績の矢川元基、渡辺貞両氏へ
・日本学士院は昨日2009年度の日本学士院賞に10人を選びましたが、HPC分野で優れた業績を顕彰して矢川元基 東大名誉教授(日本学術会議会員、東洋大学計算力学研究センター長・大学院教授)と渡辺貞 理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部プロジェクトリーダーが共同受賞となりました。
・個人的には、東大の原子力工学科で原子炉圧力容器の大規模構造解析で活躍されていた矢川先生という印象が強いのですが、近年はそれをさらに推し進めてマルチスケール・マルチフィジックス現象のコンピューター・シミュレーションのリーダー役なのはご存知のとおりです。
・次世代スーパーコンピュータ開発のプロジェクトリーダー 渡辺貞氏はスーパーコンピューターのトップ・アーキテクトに贈られるCray Awardを過去に受賞されるなど、スーパーコンピューターの世界的設計者の一人として知られています。たしかCray Awardの受賞講演で「スーパーコンピューター開発から学んだ教訓 (Lessons Learned from the Development of Supercomputers)」として9個紹介されていましたが、メモを見ると、Lesson 1: Project should be led by a visionary with deep in sight and strong will rather than the consensus with committee と力強い言葉がありました。
伝統的な実験および理論研究が盛んな中で、両氏の受賞は第三の科学 (HPC)における業績が学会で高い評価を受けたと言えますから、これもたいへん画期的なことだと思います。おめでとうございます!!
・個人的には、東大の原子力工学科で原子炉圧力容器の大規模構造解析で活躍されていた矢川先生という印象が強いのですが、近年はそれをさらに推し進めてマルチスケール・マルチフィジックス現象のコンピューター・シミュレーションのリーダー役なのはご存知のとおりです。
・次世代スーパーコンピュータ開発のプロジェクトリーダー 渡辺貞氏はスーパーコンピューターのトップ・アーキテクトに贈られるCray Awardを過去に受賞されるなど、スーパーコンピューターの世界的設計者の一人として知られています。たしかCray Awardの受賞講演で「スーパーコンピューター開発から学んだ教訓 (Lessons Learned from the Development of Supercomputers)」として9個紹介されていましたが、メモを見ると、Lesson 1: Project should be led by a visionary with deep in sight and strong will rather than the consensus with committee と力強い言葉がありました。
伝統的な実験および理論研究が盛んな中で、両氏の受賞は第三の科学 (HPC)における業績が学会で高い評価を受けたと言えますから、これもたいへん画期的なことだと思います。おめでとうございます!!
2009年03月10日
● HPC ASIA & APAN 2009 (高雄) 盛大掲幕
・ 先週の3月2日〜5日に台湾の高雄でHPC ASIA & APAN 2009が開催されていますが、その講演資料やプロシーディングが同サイトのAdvanced Programのサイトで公開されています。
・ 今回が10回目となるHPC ASIA 2009ですが、ホストは台湾のNational Center for High-Performance Computing (NCHC)です。日本は第7回のHPC Asia 2004にパレスホテル(大宮市)で開催、そのあと2005年に中国、2007年に韓国と続き、今年が台湾開催でした。
・台湾は以前からHPCに熱心でしたが、加えてDeep Blueを開発したHsuさん、最近ではBlue Geneを開発しているChiuさんなど、台湾出身の研究者が米国で活躍しています。
・イベントの初日はTutorialなので、論文発表は正味3日間ですがプロシーディングには産総研、東工大、慶応大、九州大、九州先端研、理研のHPC関連の発表が見受けられます。
・ キーノートにはTOP500などでよく知られているJack Dongarraの他に、いまHPCのホットな話題であるBlue Waters projectのDeputy DirectorになったWilliam Kramer (前はNERSCのGeneral manager)、Top500でアジアのトップになったDawning 5000のZhiwei Xu、そして20 PetaFLOPSを目指すASC Sequoiaを手がけているMark Seagerも講演をしています。
講演資料を見る限りでは内容に特別目新しいものはないようですが、Blue Waters Projectの5人のLeadership teamの顔ぶれがRob Pennington (去年の秋に来日)から今回のスピーカー William Kramerに、そしてEdward SeidelからWillian Groppへと変わっていました。
余談ですが、今年から1年に2回TOP500のアジア版「TOP500 Asia」を発表するということがアナウンスされています。主旨はTOP500に載ることができないアジア、中東の小規模HPCサーバーを把握するということのようです。こちらのTOP500リストはリヤドとドバイで開催されるGITEXで発表と、本家とはちょっと違う趣きです。
・ 今回が10回目となるHPC ASIA 2009ですが、ホストは台湾のNational Center for High-Performance Computing (NCHC)です。日本は第7回のHPC Asia 2004にパレスホテル(大宮市)で開催、そのあと2005年に中国、2007年に韓国と続き、今年が台湾開催でした。
・台湾は以前からHPCに熱心でしたが、加えてDeep Blueを開発したHsuさん、最近ではBlue Geneを開発しているChiuさんなど、台湾出身の研究者が米国で活躍しています。
・イベントの初日はTutorialなので、論文発表は正味3日間ですがプロシーディングには産総研、東工大、慶応大、九州大、九州先端研、理研のHPC関連の発表が見受けられます。
・ キーノートにはTOP500などでよく知られているJack Dongarraの他に、いまHPCのホットな話題であるBlue Waters projectのDeputy DirectorになったWilliam Kramer (前はNERSCのGeneral manager)、Top500でアジアのトップになったDawning 5000のZhiwei Xu、そして20 PetaFLOPSを目指すASC Sequoiaを手がけているMark Seagerも講演をしています。
講演資料を見る限りでは内容に特別目新しいものはないようですが、Blue Waters Projectの5人のLeadership teamの顔ぶれがRob Pennington (去年の秋に来日)から今回のスピーカー William Kramerに、そしてEdward SeidelからWillian Groppへと変わっていました。
余談ですが、今年から1年に2回TOP500のアジア版「TOP500 Asia」を発表するということがアナウンスされています。主旨はTOP500に載ることができないアジア、中東の小規模HPCサーバーを把握するということのようです。こちらのTOP500リストはリヤドとドバイで開催されるGITEXで発表と、本家とはちょっと違う趣きです。
2009年03月04日
● 新地球シミュレータES2と新プラズマシミュレータ
ここ1、2週間の間に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球シミュレータ後継機(ES2)と、核融合科学研究所(NIFS)の新プラズマシミュレータ
のふたつの大きなスーパーコンピュータの稼働が発表されています。ES2は地球シミュレータと同様ベクトル型スーパーコンピュータNEC SX-9/E、新プラズマシミュレータはIBM POWER6プロセッサー搭載のHitachi SR16000 model L2で、最近急増の汎用目的の価格性能比の高いコモディティ・ベース・クラスターとは異なるシステムとなっています。
両シミュレータとも、はじめから主要アプリケーションが明確でメモリ容量やバンド幅などの性能に対する要求がはっきりしていること、既存の主要ソフトウェアやプログラム・ノウハウの継承が重視されると言ったことなどからも、こうしたアーキテクチャのスーパーコンピューターが高評価されたのだろうと思います。
それぞれのシステムの仕様を定量的に対比してみるとおよそ次のことがわかります。
・CPUコア当りの浮動小数点演算性能はSX-9のベクトル型がPOWER6より5倍以上速い。(SX-9のコアには8個もベクトルユニットが入っているので当然)
・メモリ・バンド幅もSX-9が大きく、演算当りのメモリ転送量 (Byte/FLOP)がキャッシュがないため一定し、2.5と驚異的に大きい。
・SX-9はそのための物量が大量投下されているためか、電力当りのピーク性能が低いのでエコとは言えず、価格も高い。
・ノード当りのピーク性能はES2が約820 GFLOPS、新プラズマシミュレータ(SR16000)が約600GFLOPSとCPUほどの大きな差はない。1 TFLOPSには達していない。
・POWER6搭載のSR16000はデータがキャッシュ上にあるかどうかにより演算当りのメモリ転送が0.21 〜4 (Byte/FLOP)と振れる。
(高性能を出すためにはキャッシュを意識したプログラミングが必要)
・SR16000の電力当りのピーク性能はSX-9の3倍以上の102 MFLOPS/W。
(Green500で上を見れば、Blue Gene/Pで372、さらにCell/B.E.搭載Bladeサーバー IBM QS22の536というのが現在のトップレベル。Xeon Quad coreサーバーでも200 MFLOPS/W強)
・従来からの空冷のSX-9に対し、SR16000は熱除去効率の高い直接水冷式を採用。
(ここで対比の便宜上、公表データの欠けているところは、ES2 (NEC SX-9/E)が、SX-9 モデルAと同じ仕様と仮定し代用。また、Hitachi SR16000については仕様が酷似しているIBM p575と同じ仕様と仮定し、POWER6の公開資料で代用。
**マークが代用した値です。間違っていたらごめんなさい)
● ES2 (NEX SX-9/E)
(システム)
- ベクトル・ピーク性能: 131 TFLOPS、20 TB メモリ、Fat-tree Network
- ノード数: 160
- 空冷
- 電力当りのピーク性能: **約27.3 MFLOPS/W (819.2 GFLOPS/30 KVA)
- OS: NEC SUPER-UX
- 工費+6年間リース料: 約189億円(朝日新聞の記事による)
(CPU)
- ベクトル・ピーク性能 102.4 GFLOPS (3.2 GHz クロック)
- 8 ベクトル・ユニット + 1 スカラー・ユニット
- 32 ポート Memory port crossbar
- 65 nm CMOS 11銅配線レイヤ
(ノード)
- ベクトル・ピーク性能 819.2 GFLOPS
- CPU/node: 8
- メモリ/node: 128 GB (SMP構成)
- メモリ・バンド幅: **2,048 GB/s (8 CPU)
- Byte/FLOP: **2.5
- ノード間転送性能: 128 GB/s (8 GB/s x 8 x 2)
● 新プラズマシミュレータ (フェーズ1: Hitachi SR16000 model L2)
(システム)
- ピーク性能: 77 TFLOPS、16 TB メモリ、InfiniBand Fat Tree Network
- ノード数: 128
- 外部記憶容量: 0.5 PB
- 直接水冷
- 電力当りのピーク性能: 102.1 MFLOPS/W
- OS: IBM AIX5L
- 落札価格: 約54億円 (文科省公示による。フェーズ2 (2012/10〜2015/3)では315 TFLOPSへ性能アップ)
(CPUチップ)
- チップ・ピーク性能: 37.6 GFLOPS (Dual core)
- Dual core POWER6プロセッサ (4.7 GHz クロック)
- 32MB L3キャッシュ
- 8 channel メモリ コントローラ (DDR2/DDR3)
- 65 nm CMOS 銅配線 + SOI
(ノード)
- ピーク性能: 601.6 GFLOPS
- CPU core/node: 32
- メモリ/node: 128 GB (**32 way cc-NUMA SMP)
- メモリ・バンド幅: **128〜160 GB/s (**4〜5 GB/s x 32 core)
(ただしデータがL2キャッシュやL3キャッシュにあるときにはこの値を大きく上回る。ほぼ一定値となるベクトル・プロセッサーとは振舞が異なる)
- Byte/FLOP: **0.21 (メモリー上にデータ)〜4 (L2キャッシュ上にデータ)
- ノード間転送性能: 32 GB/s (双方向)
ちなみにメモリーとストレージは小さめになりますが、気象予測で有名な米国NCARのBLUEFIREは、ピーク性能76.4 TFLOPSと新プラズマシミュレータと同様のピーク性能を持ったIBM p575システムになります。
単純にピーク性能/価格をものさしにすればコモディティ・ベース・クラスターがベストな選択になるのでしょうが、HPCでは利用アプリケーションに対する実際の性能や価格に加え、大型化により信頼性(MTBF)、所要電力、スペース性もいっそう重要視されてきているので、利用者のものさしにあわせた選択ができるような複数アーキテクチャのスーパーコンピュータが存在することは大変重要です。
言うは易くですが、1985〜1995年ころに日本製ベクトル・スーパーコンピュータの性能にきりきり舞いさせられた経験からは、価格や電力消費といった弱点にチャレンジし、他では得難いベクトル・アーキテクチャの利点をユーザーに受け入れられ易くするということが今後必須のイノベーションではないかと感じます。
のふたつの大きなスーパーコンピュータの稼働が発表されています。ES2は地球シミュレータと同様ベクトル型スーパーコンピュータNEC SX-9/E、新プラズマシミュレータはIBM POWER6プロセッサー搭載のHitachi SR16000 model L2で、最近急増の汎用目的の価格性能比の高いコモディティ・ベース・クラスターとは異なるシステムとなっています。
両シミュレータとも、はじめから主要アプリケーションが明確でメモリ容量やバンド幅などの性能に対する要求がはっきりしていること、既存の主要ソフトウェアやプログラム・ノウハウの継承が重視されると言ったことなどからも、こうしたアーキテクチャのスーパーコンピューターが高評価されたのだろうと思います。
それぞれのシステムの仕様を定量的に対比してみるとおよそ次のことがわかります。
・CPUコア当りの浮動小数点演算性能はSX-9のベクトル型がPOWER6より5倍以上速い。(SX-9のコアには8個もベクトルユニットが入っているので当然)
・メモリ・バンド幅もSX-9が大きく、演算当りのメモリ転送量 (Byte/FLOP)がキャッシュがないため一定し、2.5と驚異的に大きい。
・SX-9はそのための物量が大量投下されているためか、電力当りのピーク性能が低いのでエコとは言えず、価格も高い。
・ノード当りのピーク性能はES2が約820 GFLOPS、新プラズマシミュレータ(SR16000)が約600GFLOPSとCPUほどの大きな差はない。1 TFLOPSには達していない。
・POWER6搭載のSR16000はデータがキャッシュ上にあるかどうかにより演算当りのメモリ転送が0.21 〜4 (Byte/FLOP)と振れる。
(高性能を出すためにはキャッシュを意識したプログラミングが必要)
・SR16000の電力当りのピーク性能はSX-9の3倍以上の102 MFLOPS/W。
(Green500で上を見れば、Blue Gene/Pで372、さらにCell/B.E.搭載Bladeサーバー IBM QS22の536というのが現在のトップレベル。Xeon Quad coreサーバーでも200 MFLOPS/W強)
・従来からの空冷のSX-9に対し、SR16000は熱除去効率の高い直接水冷式を採用。
(ここで対比の便宜上、公表データの欠けているところは、ES2 (NEC SX-9/E)が、SX-9 モデルAと同じ仕様と仮定し代用。また、Hitachi SR16000については仕様が酷似しているIBM p575と同じ仕様と仮定し、POWER6の公開資料で代用。
**マークが代用した値です。間違っていたらごめんなさい)
● ES2 (NEX SX-9/E)
(システム)
- ベクトル・ピーク性能: 131 TFLOPS、20 TB メモリ、Fat-tree Network
- ノード数: 160
- 空冷
- 電力当りのピーク性能: **約27.3 MFLOPS/W (819.2 GFLOPS/30 KVA)
- OS: NEC SUPER-UX
- 工費+6年間リース料: 約189億円(朝日新聞の記事による)
(CPU)
- ベクトル・ピーク性能 102.4 GFLOPS (3.2 GHz クロック)
- 8 ベクトル・ユニット + 1 スカラー・ユニット
- 32 ポート Memory port crossbar
- 65 nm CMOS 11銅配線レイヤ
(ノード)
- ベクトル・ピーク性能 819.2 GFLOPS
- CPU/node: 8
- メモリ/node: 128 GB (SMP構成)
- メモリ・バンド幅: **2,048 GB/s (8 CPU)
- Byte/FLOP: **2.5
- ノード間転送性能: 128 GB/s (8 GB/s x 8 x 2)
● 新プラズマシミュレータ (フェーズ1: Hitachi SR16000 model L2)
(システム)
- ピーク性能: 77 TFLOPS、16 TB メモリ、InfiniBand Fat Tree Network
- ノード数: 128
- 外部記憶容量: 0.5 PB
- 直接水冷
- 電力当りのピーク性能: 102.1 MFLOPS/W
- OS: IBM AIX5L
- 落札価格: 約54億円 (文科省公示による。フェーズ2 (2012/10〜2015/3)では315 TFLOPSへ性能アップ)
(CPUチップ)
- チップ・ピーク性能: 37.6 GFLOPS (Dual core)
- Dual core POWER6プロセッサ (4.7 GHz クロック)
- 32MB L3キャッシュ
- 8 channel メモリ コントローラ (DDR2/DDR3)
- 65 nm CMOS 銅配線 + SOI
(ノード)
- ピーク性能: 601.6 GFLOPS
- CPU core/node: 32
- メモリ/node: 128 GB (**32 way cc-NUMA SMP)
- メモリ・バンド幅: **128〜160 GB/s (**4〜5 GB/s x 32 core)
(ただしデータがL2キャッシュやL3キャッシュにあるときにはこの値を大きく上回る。ほぼ一定値となるベクトル・プロセッサーとは振舞が異なる)
- Byte/FLOP: **0.21 (メモリー上にデータ)〜4 (L2キャッシュ上にデータ)
- ノード間転送性能: 32 GB/s (双方向)
ちなみにメモリーとストレージは小さめになりますが、気象予測で有名な米国NCARのBLUEFIREは、ピーク性能76.4 TFLOPSと新プラズマシミュレータと同様のピーク性能を持ったIBM p575システムになります。
単純にピーク性能/価格をものさしにすればコモディティ・ベース・クラスターがベストな選択になるのでしょうが、HPCでは利用アプリケーションに対する実際の性能や価格に加え、大型化により信頼性(MTBF)、所要電力、スペース性もいっそう重要視されてきているので、利用者のものさしにあわせた選択ができるような複数アーキテクチャのスーパーコンピュータが存在することは大変重要です。
言うは易くですが、1985〜1995年ころに日本製ベクトル・スーパーコンピュータの性能にきりきり舞いさせられた経験からは、価格や電力消費といった弱点にチャレンジし、他では得難いベクトル・アーキテクチャの利点をユーザーに受け入れられ易くするということが今後必須のイノベーションではないかと感じます。
2009年02月26日
● 3月のHPC関連のセミナー
花粉も今のところ思ったより少ないし、なにより心配されていたインフルエンザもパンデミックにならず、感染症関係者のかたはほっとして3月を迎えられるのではないでしょうか。
さて3月のHPCに関係したセミナーについて、知っている範囲をかけあしで日付順にリストします。
・先駆的科学計算に関するフォーラム2009
分子科学計算「研究報告及び紹介と新システムの紹介」
開催日時: 3月9日(月)13時00分〜
会場:九州大学情報基盤研究開発センター3階 多目的講習室
大学からの発表に加えて、企業からはバイオベンチャー創成期から続いている株式会社ワールドフュージョンの緑川 淳氏の講演、「分子設計支援システムSYBYLでのDocking 計算」があります。
詳細 http://www.cc.kyushu-u.ac.jp/scp/users/c_news/2008/158.html#1
・理研HPCシンポジウム
開催日時: 3月12日(木)午前10時00分〜
(懇親会 午後5時40分〜午後8時)
会場: 独立行政法人 理化学研究所 和光本所 鈴木梅太郎ホール
今年度は、「第3世代 PC クラスタ」がテーマとなっています。
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/Symposium/2008/index.html
また、 RIKEN BMT コンテストも健在で、今年のべンチマーク問題は、非圧縮性流体の Poisson 方程式ソルバー Poisson FDM-BMTと、Hartree-Fock MO(Molecular Orbital)法における二電子積分計算ソルバー ERI MO-BMTのふたつです.
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/Symposium/2008/bmt.html
・ PCクラスタワークショップin大阪
開催日時:3月13日(金) 10:00 - 17:45
会場: 富士通株式会社 関西システムラボラトリ
申込締切: 3月6日(金)
大阪で開催されるPCクラスタコンソーシアム主催の、クラスタに関するワークショップです。高性能並列プログラミング環境SCoreの最新リリースSCore7の紹介はじめ、盛りだくさんな内容です。
詳細 http://www.pccluster.org/event/workshop/pcc2009osaka/
PC クラスタコンソーシアムも並列プログラミングコンテスト − SACSIS2009 併設企画のクラスターシステム上での並列プログラミングコンテスト −の参加者受付中です。参加登録の締め切りが3月2日に延長されていました。プログラミング期間は3月4日から4月14日です。
詳細 https://www2.cc.u-tokyo.ac.jp/procon/
・ 2009年第1回並列・チューニング講習会
開催日時
(1) MPI並列プログラミング講習会 (3月26日(木) 9:30〜17:30)
(2) チューニング講習会 (3月27日(金) 9:30〜15:00)
(3) MPI並列プログラミング講習会 (4月2日(木) 9:30〜17:30)
(4) チューニング講習会 (4月3日(金) 9:30〜15:00)
会場: 理化学研究所(和光本所)
講師は、理化学研究所 情報基盤センターの青山幸也氏。単にMPI並列プログラミングについての講習ではなく、スカラー・プログラムの高速化チューニングと、MPI並列プログラミングのふたつについておこなっている実践的なところがみそです。これも長寿命の講習会です。実質20年近く続いているのでは?
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/training/2009-1.html
蛇足ですが、海外では
・ HPC User Forum - April 20 to 22, 2009 - In Roanoke, VA
調査会社IDCが運営しているHPC User Forumです。
詳細 http://www.hpcuserforum.com
・ISC'09 - Hamburg, Germany June 23-26
毎年6月のTop500が発表されるISC'09のonline registrationが3月2日から始まります。企業からの参加者は、参加費900 EUR。ユーロ安といってもけっこうな金額(今日現在で約11万5千円)です。
詳細 http://www.supercomp.de/isc09/
さて3月のHPCに関係したセミナーについて、知っている範囲をかけあしで日付順にリストします。
・先駆的科学計算に関するフォーラム2009
分子科学計算「研究報告及び紹介と新システムの紹介」
開催日時: 3月9日(月)13時00分〜
会場:九州大学情報基盤研究開発センター3階 多目的講習室
大学からの発表に加えて、企業からはバイオベンチャー創成期から続いている株式会社ワールドフュージョンの緑川 淳氏の講演、「分子設計支援システムSYBYLでのDocking 計算」があります。
詳細 http://www.cc.kyushu-u.ac.jp/scp/users/c_news/2008/158.html#1
・理研HPCシンポジウム
開催日時: 3月12日(木)午前10時00分〜
(懇親会 午後5時40分〜午後8時)
会場: 独立行政法人 理化学研究所 和光本所 鈴木梅太郎ホール
今年度は、「第3世代 PC クラスタ」がテーマとなっています。
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/Symposium/2008/index.html
また、 RIKEN BMT コンテストも健在で、今年のべンチマーク問題は、非圧縮性流体の Poisson 方程式ソルバー Poisson FDM-BMTと、Hartree-Fock MO(Molecular Orbital)法における二電子積分計算ソルバー ERI MO-BMTのふたつです.
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/Symposium/2008/bmt.html
・ PCクラスタワークショップin大阪
開催日時:3月13日(金) 10:00 - 17:45
会場: 富士通株式会社 関西システムラボラトリ
申込締切: 3月6日(金)
大阪で開催されるPCクラスタコンソーシアム主催の、クラスタに関するワークショップです。高性能並列プログラミング環境SCoreの最新リリースSCore7の紹介はじめ、盛りだくさんな内容です。
詳細 http://www.pccluster.org/event/workshop/pcc2009osaka/
PC クラスタコンソーシアムも並列プログラミングコンテスト − SACSIS2009 併設企画のクラスターシステム上での並列プログラミングコンテスト −の参加者受付中です。参加登録の締め切りが3月2日に延長されていました。プログラミング期間は3月4日から4月14日です。
詳細 https://www2.cc.u-tokyo.ac.jp/procon/
・ 2009年第1回並列・チューニング講習会
開催日時
(1) MPI並列プログラミング講習会 (3月26日(木) 9:30〜17:30)
(2) チューニング講習会 (3月27日(金) 9:30〜15:00)
(3) MPI並列プログラミング講習会 (4月2日(木) 9:30〜17:30)
(4) チューニング講習会 (4月3日(金) 9:30〜15:00)
会場: 理化学研究所(和光本所)
講師は、理化学研究所 情報基盤センターの青山幸也氏。単にMPI並列プログラミングについての講習ではなく、スカラー・プログラムの高速化チューニングと、MPI並列プログラミングのふたつについておこなっている実践的なところがみそです。これも長寿命の講習会です。実質20年近く続いているのでは?
詳細 http://accc.riken.jp/HPC/training/2009-1.html
蛇足ですが、海外では
・ HPC User Forum - April 20 to 22, 2009 - In Roanoke, VA
調査会社IDCが運営しているHPC User Forumです。
詳細 http://www.hpcuserforum.com
・ISC'09 - Hamburg, Germany June 23-26
毎年6月のTop500が発表されるISC'09のonline registrationが3月2日から始まります。企業からの参加者は、参加費900 EUR。ユーロ安といってもけっこうな金額(今日現在で約11万5千円)です。
詳細 http://www.supercomp.de/isc09/
