2007年08月

2007年08月30日

●Reinventing Computing - Burton Smith博士の講演から

・今週はMicrosof社に移られたBurton Smith博士の講演が東京だけでも、東大(秋葉原拠点)、SS研HPCフォーラム2007とふたつあり、二回聞く機会を得ました。

・タイトルは両方とも"Reinventing Computing (コンピューティングを再発明する)"とあり、ISC'07での講演とも共通です。

・講演内容も同じレールの上を走るように、ほとんど同一の内容が語られました。たぶんISC'07とも同じと推察されるので、ご興味の方は東大の講演会を企画された小柳先生によるISC'07小柳レポートの項をごらんになるのがよいと思います。

・博士の友人が話したという、ILP Wall+Power Wall+Memory Wall = Brick Wall という式を引きあいに紹介していましたが、とうとう直面せざるを得なくなったILP(Instruction-level-parallerism)の壁、電力消費対性能の壁、メモリーのバンド幅と遅延の壁についての議論を出発点に、並列処理言語、並列コンパイラー、OS、並列HWアーキテクチャについての課題を指摘したり、示唆を与えたりといった内容でした。

・Reinventingというタイトルですが、reinventingの項目について具体的な提案をされたというよりは、HPCの後進に対し「やることはいっぱいある、reinventingしたら」と促すトーンだったのがややもの足らなかったというと怒られそうです。

こうしたComputingの壁を破るためにはHPCの狭い枠に留まらず、他にある良いものはすべて参考にしてreinventする必要があると指摘していましたが、これはマイクロソフト社に移って得られた考えなのか、あるいはこれが博士が移られた理由なのかちょっと興味深いものがあります。

2007年08月22日

●東大情報理工の秋葉原拠点でバートン・スミス講演会

小柳先生ISC'07レポートのブログでも触れたバートン・スミス博士について、小柳先生から「コンピュータアーキテクチャの巨人バートン・スミス博士(マイクロソフト)来日の機会を利用して、下記の通り講演会を行います。暑い盛りですが、多数ご来聴ください。場所は東大情報理工の秋葉原拠点です。」と、バートン・スミス講演会の案内が出ていました。

特にWebサイトはないようなので、簡単に引用してご紹介します。
なお、どなたでも参加は自由となっています。
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日時:2007年8月27日 午後3時〜
場所:東京大学 情報理工学系研究科 秋葉原拠点 大会議室
〒101-0021東京都千代田区外神田1-18-13
秋葉原ダイビル13F
(JR秋葉原駅の北西方向徒歩1分)

タイトル:Reinventing Computing「コンピューティングを再発明する」

講師:Burton Smith
   Technical Fellow, Advanced Strategies and Policy
   Microsoft Corporation
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バートンという大物の顔とともに、東大情報理工の秋葉原拠点を見てみるいいチャンスかも知れません。」とのことです。

2007年08月21日

●北京オリンピックの気象予報にIBMスーパーコンピューター

・みるからに大気汚染がひどそうな北京市ですが、風向きや風速、気温といった気象条件によっても地域の汚染状況が大きく影響を受けるだろうことは容易に推測されます。

・そういうこともあってか、北京オリンピックの数値気象予報のためにピーク性能が約10テラFLOPSのスーパーコンピューター(80ノードのIBM System p5 575クラスター・システム)を北京市気象局が導入することになったと発表されました。

・IBM System p5 575というのはノードあたりPOWER5+プロセッサーを8コア(2.2 GHz)または16コア(1.9 GHz)搭載するクラスター・システムです。

・オリンピック期間中、3時間ごとに予報ができる能力を持っているとの報道もありますから、推測するに1996年のアトランタ・オリンピックなどでIBMの実績がある局地数値天気予報を北京用に最適化して、たとえば3時間後の北京オリンピック会場周辺地域の精密な気象予報をおこなうのだろうと思います。

・アトランタ・オリンピックでは雷雲が会場付近に近づくのを定期的に予測してゲームを延期したり、観客の誘導の判断に利用したと記憶していますが、北京では雷雲でなく汚染大気雲が対象になるのかもしれません。

・ちなみに中国気象局(CMA)ではIBMの並列コンピューター SPを2000年に導入し、現在は20テラFLOPS級のIBM System pを使用していますが、このシステムで中国全域の数値予報などを行っているようです。

アトランタ・オリンピックでの数値予報を始め、長年数値気象予報を研究開発してきたIBM Researchのギリシア人の古い友人が、なんと中国に長期滞在して協力支援をしていることがわかりました。その間の最大の収穫は、もしかしてよきパートナーを得たことではなかろうかと私は思っていますが。
ともあれ、こうした貢献により北京オリンピック期間中(とそれ以降)の精密な気象予報が行われ、ひいては大気汚染の制御にも成功することに期待大です。


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2007年08月19日

●太陽系で最も多用途なコンピュータ・アーキテクチャは?

・記憶に残っているかも知れませんが、8月初旬に火星の北極に向けて飛び立ったNASAのフェニックス・マースランダーにはBAEシステムズ社ベースのRAND6000というコンピュータが載っていて飛行中はもちろん火星着陸後もいろいろな制御を行います。

・初代の火星着陸機マース・パスファインダー以来、宇宙空間の強烈な放射線への対策が取られたプロセッサーが米国で開発され火星探査機に搭載されてきましたが、これらにはIBMのPower Architectureが用いられています。

・ということで、IBMのプレスリリース「IBM Power Architectureが火星の未踏の地へ」には誇り高く、「Power Architectureベースのプロセッサーは、3大ゲーム機のすべて、世界中の自動車モデルの50%、世界最速のコンピューターの60%、そして火星上のシステムの100%に使われています。Powerこそ、太陽系において真の意味でもっとも多用途のコンピューティング・プラットフォームと言えます。」と宣言しています。

・3大ゲーム機というのは、Wii、Play Station 3、Xboxを指しています。世界最速のコンピューター60%というのはTop500からの計算値を言っています。

・HPC用途ではなんと言っても世界最速の4.7GHzで走るPOWER6プロセッサーのインパクトが強いですし、Blue Gene/PもPowerプロセッサーを搭載しますが、ゲーム機にも大量に使われているのでした。

Wii、Play Station 3、Xboxだけで8月までの今年の全世界の販売台数が約2,500万台(VG-Chartsによる)ですから、3大ゲーム機へのPower Architectureベースのプロセッサー数はふだん想像しているよりも意外に多いですね。ちなみに今年のパソコンの全世界販売台数の予測は約二億五千万台だそうです(Gartnerによる)。


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2007年08月08日

●SS研HPCフォーラム2007でBurton Smithが講演

・この前の「小柳先生ISC'07レポート 完成」ブログで触れたように、SS研HPCフォーラム2007でMicrosoftのBurton Smith氏の講演があります。

・このSS研HPCフォーラム2007は8月28日に東京 汐留シティセンター24階 富士通(株) 大会議室で開催されます。
案内のURLは、http://www.ssken.gr.jp/bun/sci/program2007-1.htmlです。
テーマは「ペタスケール時代のコンピュータ技術

・"SS研会員に限らずどなたでも参加できます。お誘いあわせのうえどうぞ!"と案内ページにありました。

●小柳先生ISC'07レポート 完成

・7/28に未完としてご紹介した小柳先生ISC'07レポートが堂々A4 60ページ近い大作として完成していました。

・Strohmaier (LBNL)によるTop500の講演から始まって、MicrosoftのBurton Smithの基調講演"Reinventing Computing"、Thomas Sterling (Louisiana State University / CalTech)が、過去一年を振り返っての招待講演 "HPC Achievement and Impact --- 2007, A personal retrospective"等々、詳細かつクリアな説明が続くので、たぶん会場で聞いているよりもよくわかります(もちろん私のつたない英語力の場合ですが)。

・そういえばBurton Smith大先生は、8/28に東京で開催されるSS研HPCフォーラム2007 の講演者になっていますね。

・"Overturning the Conventinal Wisdom for the Multicore Era"の講演をしたJohn ShalfはNERSC, Lawrence Berkeley National Laboratory の人ですが、まだ30才前後のいかにも才気煥発な人で、レポートからもそんな雰囲気が伝わってきます。彼は手も良く動き、プログラミングもバリバリすると伝え聞いたような。

まだ60ページを斜め読みしただけなので、夏休みの午後へ完読の楽しみはとっておきます。

2007年08月05日

「PACS-CSシステムと計算科学」シンポジウムが9月3-4日に筑波大で

PACS-CSというと今年6月発表のTop500に86位でランク入りしてきた筑波大のシステムです。その研究開発プロジェクトが最終年度となる本年度はいよいよフルシステムが運用開始になるそうです。

・そして『第三回「計算科学による新たな知の発見・統合・創出」シンポジウム 〜PACS-CSシステムと計算科学〜』と題したシンポジウムが9月3-4日に筑波大で開催されます。

・セッション1:「高性能計算システム」、セッション2:「素粒子物理学」、セッション3:「地球環境」、セッション4:「宇宙物理学」、セッション5:「分子進化」、セッション6:「物質と生命」と内容は多岐にわたるものです。

・途中、PACS-CSシステムの見学会や、ライバルとも言える(?) University of Texas at Austinの0.5ペタFLOPSシステムについての基調講演が予定されています。

これはいろいろな点でたいへん興味深いシンポジウムだと思います。