2008年02月11日

● 脳の研究とHPC

・ 日本の脳科学研究は世界のトップを走っていると聞いたことはあるものの、専門家でもない私にとって、脳科学はまったく未知の分野です。

・とはいえ、脳については養老孟司著の「脳の見方」(ちくま文庫1997.11.20 第11版、養老孟司著、筑摩書房 (1986.10.20))と「からだの見方」(ちくま文庫 1995.7.5 第3版、養老孟司著、筑摩書房 (1988.7))を読んで鮮烈な印象を受けた記憶があります。( )内は最初の発行日(文庫以外)です。ところで養老先生の書かれたものは今のベストセラーよりもこの頃の方が私にはずっと面白く感じられます。たとえば視覚系についての考えはその最たるものですが、著者は異なるものの、ほぼ20年後に書かれた「進化しすぎた脳」でも、どこか共通した考えが感じられるのは私の脳がそう解釈したいからなのでしょうか。

・ 「進化しすぎた脳」(ブルーバックス B-1538 2007.11.8 第9版、池谷裕二著、講談社)はこの連休にたまたま駅前の三省堂書店で買って読みました。専門家でない私には情報量がやや多く、すべて消化しきれたわけではないですが、2003年頃のアメリカ留学中にニューヨークの日本人高校生8人を相手にした脳科学講義ということもあってでしょうか、知的活気にあふれた第一章から四章までの講義と高校生との質疑応答がなかなかいい雰囲気です。やはり異環境で挑んだ30代前半の試みというのはとびっきりの勢いを持っています。

・「進化しすぎた脳」から思ったのは、脳の物理モデル・シミュレーションにそろそろ力を入れていい時期になってきたのではないかということです。たぶん脳科学の専門家ほど脳はコンピューター・シミュレーションには複雑過ぎると思われているでしょうから、ブレークするためには最初から異分野の専門家との協力が必要かも知れません。

・ スイスのBlue Brain Projectでは、Blue Geneの巨大なコンピュータ・パワーを前提に、実際の神経細胞をもとにしたNeocortical column(NCC)(大脳新皮質カラム)のシミュレーションに挑戦し、昨年11月に第1フェーズを完了しています。

・ 最先端を走っていると言われている日本の脳科学研究がベースにあれば、こうした先端的なシミュレーション分野でも日本ならではの優れた研究成果がでる可能性は高いと個人的には思っています。

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