2008年10月11日

● 30年後には計算屋からノーベル物理学賞受賞者?

ノーベル物理学賞発表そして翌日のノーベル化学賞発表と、思わず顔がほころぶニュースがストックホルムから入ってきた今週でした。

・1960年代であれば、今年のノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎先生、小林誠先生、益川敏英先生は素粒子物理の理論屋さん、2002年ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊先生は 素粒子物理の実験屋さんとシンプルに区別でき研究内容についてもなんとなくわかったつもりになっていたと思います。

・しかし1980年代からは、スーパーコンピューターが台頭したのを受けて"Computational Science"が科学研究の三番目の新しい方法論として徐々に認識され、クォークの理論であるQCD(Quantum Chromodynamics)などのHPCグランド・チャレンジ問題の解決に大きな精力が注がれているので、10年〜30年後のノーベル物理学賞はそうした研究者-計算屋さん(?)が受賞するのかも知れません。

・Computational Science(計算科学)という科学技術の三番目の方法論を理解・推進したKenneth G. Wilsonは「相転移に結びつく臨界現象の研究」で1982年ノーベル物理学賞を受賞していますが、クォークの理論であるQCD(Quantum Chromodynamics)を解くのに非常に興味を持っていたようです。

・余談ですが、Wilsonがコーネル大学理論センター所長に就任の1985年にIBMがHPCの分野に再参入し、IBM最大のシステム IBM 3090最大構成が同センターでHPC用に稼働し始めたということもあって、Wilsonは当時のIBM HPC関係者にとっては大きな影響を与えた存在でした。

・HPCのグランドチャレンジ問題のひとつとしてQCD計算が日米欧中心に果敢な挑戦が続いていることはよく知られています。日本はQCD計算分野でも伝統的に研究開発が活発で、たとえば筑波大学/日立製作所が開発したQCDなどの計算物理学用スーパーコンピューター CP-PACSは1996年11月のスーパーコンピュータTop500リストの第1位 (368.2ギガFLOPS)になりました。

・小林誠先生が教授をされていた高エネルギー加速器研究機構(KEK)でも最先端のQCD研究IBM Blue Geneスーパーコンピューターを駆使して続けられています。

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